インターホンが鳴り、応対すると「玄関先までお願いします!」の声。今は忙しいのに、と思いながらも、つい話を聞いてしまった経験はありませんか。
頼んでもいないのに突然訪れる訪問販売は、多くの人にとって歓迎できないものです。とはいえ、いざ目の前に営業マンが立つと、うまく断れずに話を長引かせてしまう人も少なくありません。
この記事では、インターホン越しの対応から玄関先で対面してしまった場合、しつこく再訪問された場合まで、場面別の断り方を例文付きで紹介します。あわせてNGな断り方や、訪問そのものを減らす対策方法も解説します。

訪問販売の断り方【シーン別】
訪問販売は「インターホン越し」「玄関先での対面」「しつこい再訪問」の3つの場面に分けて考えると、それぞれに適した対応が見えてきます。以下で具体的な例文とともに解説します。
インターホン越しに対応する場合
一番簡単なのは、インターホンが鳴っても応答しないことです。実際に家にいても留守を装う必要はなく、単純に応答しなければそれで済みます。相手が名乗るまでこちらから話しかけないようにしましょう。
ただし応答してしまった場合は、相手が名乗る前に「営業ですか?」とはっきり確認するのがコツです。直接聞かれれば相手も答えざるを得ないため、営業だと分かった時点できっぱり断ることができます。答えを濁す相手には、もう一度はっきりと同じ質問を繰り返しましょう。
もしインターホンに出てしまっても、扉は開けないのが基本です。扉を開けたからといって強引に押し入られることは滅多にありませんが、顔を合わせてしまうと断りにくくなるのも事実です。会話はインターホンか扉越しで完結させましょう。
💬 例文
「営業でしたら、申し訳ありませんが結構です」
🗣️営業マン「玄関先までお願いします!」
🙂自分「申し訳ございません、玄関先までお伺いすることはできません」
ここで「今は忙しいので」などと理由を言ってしまうと、「では何時なら大丈夫ですか」と切り返されてやり取りが長引きます。理由は言わず、「お話をお聞きする気はありません」「今は一切の訪問販売はお断りしております」ときっぱり伝えましょう。
玄関先で対面してしまった場合
扉を開けて顔を合わせてしまった場合でも、慌てる必要はありません。まずは「いりません」「必要ありません」ときっぱり伝えることが最も重要です。曖昧な返事は相手に期待を持たせてしまいます。
💬 例文
「いりません。お引き取りください」
それでもなかなか帰ってくれない相手には、身分証明書の提示を求めて写真を撮らせてもらう方法も有効です。悪質な業者ほど身元を明かすことを嫌がるため、それだけで態度が変わることがあります。
身分証の確認に加えて「会話を録音してもいいですか」と一言添えておくのもおすすめです。詐欺でなければ録音を拒む理由はないはずですし、後々トラブルになった際の証拠にもなります。
不実告知(特定商取引法第4条1項1号)とは、事業者が重要な事項について虚偽の情報を提供し、消費者がそれを事実と誤認して契約した場合に、契約の取消しが認められる制度です。事業者が虚偽の事実を告げることは消費者の判断を誤らせるため、不適切な情報提供行為として規制されています。
引用元:消費者契約法の基礎知識(前編)|第二東京弁護士会
事実不告知とは、法律上の効果を生ずる原因となる自分に不利な事実の存在を認識しながら、契約の相手方に告げないことです。消費者に不利益となる事実を認識していたのに、あえて告げずに契約を締結させた場合、契約の取消しや代金の返還を求める原因となります。
引用元:事実不告知とは何?わかりやすく解説 Weblio辞書
また「お金がない」「忙しい」「主人がいないので決められない」といった理由をつけて断ると、相手に反論の余地を与えてしまいます。理由は言わず、「買いません」とだけ伝えれば十分です。特に「決定権が自分にない」と嘘をつくと、後から家族に「なぜその場で断ってくれなかったのか」と言われてしまうこともあるため、避けたほうが無難です。
しつこい再訪問・電話勧誘への対応
一度きっぱり断ったにもかかわらず、同じ業者が繰り返し訪れることがあります。特定商取引法では、消費者が明確に断った相手への再勧誘を禁止しているため、再訪問はそれ自体が違法行為です。
2009年12月の特定商取引法改正により、訪問販売や電話勧誘販売において、消費者が「いらない」「興味がない」とはっきり断っているにもかかわらず、業者が引き続き勧誘したり再度勧誘したりすることは禁止されています(再勧誘の禁止)。
引用元:国民生活センター
🗣️営業マン「先日はすみませんでした、また改めて…」
🙂自分「一度お断りした件です。次に来られたら警察に通報します」
💬 例文
「今後のご案内やお電話も含めて、一切必要ございません」
それでも来るようであれば、宣言どおり実際に警察を呼びましょう。ただ「通報します」と言うだけでは、しつこい相手にはハッタリだと思われてしまうこともあります。帰るよう求められても居座り続ける行為は不退去罪という立派な犯罪です。
不退去罪は刑法第130条にあたり、正当な理由がないのに人の住居や看守する建造物などに侵入し、または要求を受けたにもかかわらずその場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役または十万円以下の罰金に処されます。
引用元:不退去罪とは|逮捕される要件と罰則・該当する行為や実例を紹介|ベンナビ刑事事件
警察が来る前に相手が立ち去った場合でも、それまでに撮影・録音したデータを見せれば、嘘の通報ではないことの証拠になります。
訪問だけでなく電話でのしつこい勧誘に悩まされている場合は、会社にかかる営業電話の断り方や電気料金の電話勧誘・訪問営業の断り方も参考にしてください。
訪問販売を行う主な業種
訪問販売は様々な業種で行われています。主な業種を知っておくと、インターホン越しの会話だけでも「これは営業だな」と早めに気づきやすくなります。
- 保険会社(生命保険・火災保険など)
- 通信サービス(インターネット回線・プロバイダーなど)
- 教育関係(教材・塾・家庭教師など)
- 美容関係(美容器具・化粧品など)
- 新聞・雑誌の勧誘
- 電気事業者(電力の切り替え営業など)
- 不動産・リフォーム(点検商法を含む)
- 食品・健康食品・健康器具
- 宗教
特にリフォーム関連では「無料点検します」と訪問し、不安を煽って高額な工事契約を結ばせる「点検商法」と呼ばれる手口もあるため注意が必要です。無料や割引という言葉が出た時点で、一度立ち止まって考える習慣をつけましょう。
最後の宗教のように、販売というより勧誘に近いケースもあります。宗教関連の勧誘で悩んでいる場合は、宗教の勧誘を角が立たない断り方もあわせてご覧ください。
やってはいけないNGな断り方
断り方と同じくらい大切なのが、やってはいけないNGな対応を知っておくことです。ここでは特につい使ってしまいがちな言動を4つに分けて解説します。
「お金がない」「忙しい」を理由にする
断る理由として使う人が多いのが「お金がない」「高い」です。これを理由にすると、ローンを組ませようとしたり割引を提案されたりして、「お金の問題が解決すれば買いたいのですね」と都合よく解釈されてしまいます。
「忙しい」も同様です。購入しないのは「忙しいから」であって「欲しくないから」ではないと解釈され、「何時頃なら空いていますか」と聞かれたり、後日改めて訪問されたりする原因になります。
質問をする・質問に答える
会話が続いてしまい、こちらから質問をすると「商品に興味がある」と思われ、さらにグイグイ営業されることがあります。全く買う気がなければ、興味本位でも質問はしないほうが無難です。
逆に相手から質問されて律儀に回答していると、いつまで経っても話が終わりません。質問には答えず、きっぱりと「いりません」と伝えましょう。
曖昧な返事や横柄な態度をとる
「いいです」「大丈夫です」といったYesともNoとも取れる言葉は、都合よく解釈されがちです。「いりません」「買いません」とはっきり言い切りましょう。
一方で横柄で乱暴な態度をとると、恨みを買って個人的な嫌がらせにつながったり、大声で追い返す様子を近隣の人に見られたりするリスクがあります。断るときこそ丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
買わない理由を並べる・居留守だけで済ませる
買わない理由を具体的に言うと、それぞれに反論の材料を与えてしまいます。「お金がないから→ローンを提案される」「忙しいから→都合の良い時間を聞かれる」というように、理由を言うほど会話は長引きます。理由は言わず「買いません」とだけ伝えれば十分です。
また、居留守は一番手軽な対応ですが、断ったことにはならないため再訪問される可能性があります。同じ人が何度も来るようであれば、一度きちんと対応してはっきり断っておいたほうが、結果的にトラブルを減らせます。
訪問販売を未然に防ぐ対策方法
断り方に自信がない人ほど、そもそも訪問される回数を減らす対策も併せて行っておくと安心です。
訪問販売お断りのステッカーを貼る
玄関やドアの目立つ場所に「訪問販売お断り」のステッカーを貼ることで、業者に明確な意思表示ができます。見えない場所に貼っても意味がないため、必ず目につく位置に貼りましょう。
ただし、ステッカーだけで訪問がゼロになるわけではなく、逆に「この家は気が小さくて自分で断れない、押しに弱いタイプだな」と思われて狙われる場合もあります。ステッカーはあくまで、断るスキルとセットで使う対策と考えておきましょう。
防犯カメラ・モニター付きインターホンを設置する
防犯カメラを設置すると、悪質な業者が家に近づくこと自体を抑止できます。もちろん悪質でない業者はカメラがあっても訪れますが、悪質な業者だけでも減らせるなら設置する価値はあります。
高額で設置が難しい場合は、ダミーカメラや「防犯カメラ作動中」のステッカーでも一定の効果があります(実際には録画できませんが)。防犯カメラは訪問販売対策だけでなく、通常の防犯対策としても役立ちます。
モニター付きインターホンなら、チャイムに応答しなくても相手の様子を確認できます。こちらの姿は見せずに相手だけを確認できるため、防犯カメラと似た抑止効果が期待できます。

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マーキングを消しておく
マーキングとは、訪問販売員が表札やポスト、インターホンなどに小さな印や記号をつけ、その家の留守時間や住人の性格・反応などを同業者間で共有する手法です(空き巣が使う手口としても知られています)。
- ◎:成約成立済み
- 〇:見込み客
- △:見込みはあるが断られる可能性が高い
- ×:成約の見込みなし
マーキングされやすい場所は、玄関、表札、ポスト、インターホン、ガスメーター、水道メーターまわりです。この辺りを見て怪しい記号があれば、意味が分からなくても消しておいたほうが安心です。
削除した跡が残っていれば「ここは防犯意識が高い家だな」と判断され、訪問されにくくなる効果も期待できます。ポストや玄関を整理整頓しておくことも、隙のない家という印象を与えるうえで効果的です。
断り方のチェックリスト
訪問販売員が来たときに慌てないよう、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 相手が名乗る前に「営業ですか?」と確認する
- 理由をつけず「いりません」「買いません」ときっぱり伝える
- 曖昧な返事(「いいです」「大丈夫です」など)は避ける
- 帰らない場合は身分証の提示・撮影・録音を依頼する
- 再訪問には「通報します」と伝え、実際に警察を呼ぶ
- 横柄な態度は取らず、丁寧な言葉遣いを心がける
- ステッカーや防犯カメラなど、訪問自体を減らす対策も併用する
よくある質問
居留守は違法になりませんか?
居留守そのものは違法ではありません。インターホンに応答するかどうかは自宅の住人の自由であり、応答しなかったからといって罪に問われることはありません。ただし断ったことにはならないため、再訪問される可能性がある点には注意しましょう。
名前や家族構成を聞かれたら答えるべきですか?
訪問販売員に個人情報を伝える義務はありません。名前や家族構成、勤務先などを聞かれても、「お答えする必要はありません」ときっぱり断って構いません。営業目的以外で聞かれる情報を安易に教えないことが、後のトラブル防止にもつながります。
うっかり契約してしまった場合はどうすればいいですか?
訪問販売で契約してしまった場合でも、法律で定められた書面を受け取った日から8日以内であれば、クーリングオフ制度により無条件で契約を解除できます。少しでも「勢いで契約してしまった」と感じたら、早めに消費生活センターへ相談しましょう。
まとめ:場面ごとの断り方を知っておけば怖くない

訪問販売への対応は、インターホン越し・玄関先での対面・しつこい再訪問の3つの場面に分けて考えると、それぞれで使うべき言葉がはっきりします。共通して大切なのは、理由を言わずにきっぱりと「いりません」「買いません」と伝えることです。
それでも帰らない、あるいは何度も訪れる悪質なケースでは、身分証の確認や録音、通報といった対応も選択肢に入れておきましょう。特定商取引法によって、消費者を守る制度もきちんと整っています。
あわせて、ステッカーや防犯カメラ、モニター付きインターホンといった対策を組み合わせておけば、訪問される回数そのものを減らすことにもつながります。断り方と対策の両方を知っておけば、訪問販売員が来ても落ち着いて対応できるはずです。
まずは今日から、インターホンが鳴ったら「営業ですか?」と一言確認することから始めてみてください。それだけでも、余計なやり取りをぐっと減らすことができます。
